青山学院大学文学部 比較芸術学科

青山学院大学文学部 比較芸術学科

カリキュラムガイド

カリキュラムの特徴

「比較学習」「古典重視」「鑑賞教育」の3つに集約されます。「比較学習」は、3領域それぞれの時代的・地域的比較はもとより、領域相互の比較検討、そして他の人文諸学との比較も含まれます。芸術が本来、各ジャンルの相互関連により成り立っていることを前提としたものです。「古典重視」は文字通り東西の古典テクストの読解を重視することです。「鑑賞教育」は生の芸術作品の鑑賞を踏まえた教育です。これら基礎の段階から徐々に専門へと、段階を追ってカリキュラムは設定されますが、大切なことはまず固定観念を棄てること、そして改めて自分にもっとも合った専門領域を選択していくことです。結果としてそれは、学生諸君の以後の幅広い芸術的視野からの学習・研究を可能とし、将来的には社会への着実な貢献を約束してくれるでしょう。

授業紹介 比較芸術学入門A
一年生の必修科目「比較芸術学入門A」はオムニバス形式で全教員が交替で授業を担当します。 それぞれの専門について入門的講義を行いますが、 時に芸術諸分野の専門家をゲストスピーカーとしてお招きすることがあります。 2016年度は、河野元昭先生と北原照久氏においでいただきました。

世界で最長の号数を誇る日本・東洋美術研究誌『國華』の主幹を務めるなど、長年、日本絵画研究をリードされてきた河野元昭先生(東京大学名誉教授)に、「日本美術の素性」と題してお話しいただきました。「シンプリシティ(純粋で簡素にして清潔)こそ日本美術の最大の特質」という独自の見方を、ドラクロワと浮世絵師・渓斎英泉の女性像との比較から説き起こし、母胎となった中国文化には見られない日本の美の簡潔性について明快に語って下さいました。美術だけでなく、建築、料理、茶道、楽器などへの溢れるばかりの博識に学生たちも驚愕。「美」への情熱と鑑賞する喜びを教えていただきました。
授業紹介 比較芸術学入門A 授業紹介 比較芸術学入門A

本学経済学部ご出身で、「開運!なんでも鑑定団」でおなじみの北原照久氏(ブリキのおもちゃ博物館館長)。「コレクションの愉しみ」と題して、ご自身の48年に亘るコレクション活動の原点を語ってくださいました。オーストリア留学時、物を大切にし美しく住まう暮らしぶりに魅了され、帰国後、ゴミ置き場で見つけた柱時計が蒐集品第1号。油を注し動き出した時の感動をもとに、ラジオ、広告、ポスター、ミニカー、奈良美智ら現代アート・・・と、集め、調べ、分類し、さらに集める。すると時代の変化が見えてくる。「その繰り返しこそ、実は学問ではないでしょうか。私は一時預かり所でしかありませんし(笑)」。
授業紹介 比較芸術学入門A 授業紹介 比較芸術学入門A

これまでのゲストスピーカー
2017年度
4月 歌舞伎俳優―中村児太郎丈 比較芸術学入門A
5月 俳優―保坂知寿氏 西洋の文芸と演劇映像A
劇団昴演出家―菊池准氏、劇団昴俳優―町屋圭祐氏 西洋の文芸と演劇映像A
6月 歌舞伎俳優―中村歌昇丈 比較芸術学特講Ⅲ(1)
劇団四季俳優―間辺朋美氏 西洋の文芸と演劇映像A
劇団四季俳優―塚田健人氏 芸術と文学
7月 映画監督―三宅唱氏 比較芸術学演習Ⅲ(3)
プロデューサー、翻訳家―松井宏氏 比較芸術学演習Ⅲ(3)
9月 演出家―串田和美氏 比較芸術学入門B
10月 劇団俳優座俳優―斉藤淳氏、佐藤あかり氏、松崎建ん語氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
2016年度
4月 劇団俳優座俳優―斉藤深雪氏、川井康弘氏、河内浩氏、小泉将臣氏 西洋の文芸と演劇映像A
5月 作家―岡田光世氏 基礎演習Ⅲ(1)
劇団民藝俳優―細川ひさよ氏 西洋の文芸と演劇映像A
劇団文学座俳優―吉野実紗氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
NHKテレビ『世界入りにくい居酒屋』番組ディレクター―北原慎一朗氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
9月 映画監督三宅唱氏・映画プロデューサー松井宏氏 比較芸術学演習Ⅲ(3)
2015年度
4月 劇団俳優座俳優 斉藤深雪氏・小山力也氏 西洋の文芸と演劇映像A
5月 劇団昴俳優 一柳みる氏・宮本充氏・矢島祐果氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
7月 劇団俳優座俳優 田野聖子氏・加藤頼氏 西洋の文芸と演劇映像A
10月 劇団昴俳優―要田禎子氏・舞山裕子氏・大島大次郎氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
11月 落語家・桂歌丸師匠 比較芸術学入門B
映画監督/舞台演出家・深作健太氏 比較芸術学入門B
12月 劇団俳優座俳優―中野誠也氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
劇団俳優座俳優―斉藤淳氏 比較芸術学特講Ⅲ(2)
1月 映画監督三宅唱氏・映画プロデューサー松井宏氏 比較芸術学特講Ⅲ(6)
2014年度
5月 劇団昴俳優 一柳みる氏・林佳代子氏・槇野萌美氏・永井誠氏・岩田翼氏 西洋の文芸と演劇映像A
歌舞伎俳優 中村橋之助丈 比較芸術学入門A
6月 劇団四季バレエ講師 戸田真美氏 西洋の文芸と演劇映像A
10月 劇団俳優座代表 岩崎加根子氏 比較芸術学入門B
11月 前板橋区立美術館館長 安村敏信氏 比較芸術学入門B
2013年度
4月 劇団四季俳優 寺田真美氏 基礎演習Ⅲ(1)
5月 劇団昴俳優 高山佳音里氏 西洋の文芸と演劇映像A
7月 歌舞伎俳優 中村勘九郎丈 比較芸術学入門A
10月 三井記念美術館参事 赤沼多佳氏 比較芸術学入門B
11月 劇団四季バレエ講師 戸田真美氏 西洋の文芸と演劇映像B
1月 文学座俳優 川辺邦弘氏・吉野実紗氏 西洋の文芸と演劇映像B
2012年度
5月 劇団昴俳優 宮本充氏・金子由之氏・町屋圭祐氏・上領幸子氏 西洋の文芸と演劇映像A
6月 劇団俳優座俳優 斉藤深雪氏 西洋の文芸と演劇映像A
10月 歌舞伎俳優 中村福助丈 日本・東洋の文芸と演劇映像A
課外ワークショップの実施
比較芸術学科では、ワークショップを実施し、美術・音楽・演劇映像を実地に触れる機会を設け、現場でしか伝えられない「鑑賞のツボ」を直に教授します。2017年度に実施した(予定を含む)催しは以下の通りです。
4月
中村児太郎丈による講演
根津美術館見学会
5月
劇団昴による演技ワークショップ
地人会による演技ワークショップ
バッハ・コレギウム・ジャパン レクチャーコンサート
6月
歌舞伎鑑賞教室(国立劇場)*
中村歌昇丈による講演
地人会公演『これはあなたのもの』観劇
劇団昴『アルジャーノンに花束を』観劇
劇団四季による演技ワークショップ
7月
子供のためのシェイクスピア公演『リア王』観劇
11月
日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会*
12月
文楽鑑賞教室(国立劇場)*

*1年次専門基礎科目「比較芸術学入門A・B」での全員必修参加ワークショップ



芸術鑑賞サロンの開催
芸術鑑賞は、教員から学生へと教えるような縦の関係で成立するものではありません。互いに一体となって作品の素晴らしさに身を委ねる、そんな対等な関係においてこそ、真の鑑賞体験は成り立つものです。原始時代の人々はなんのために芸術を生みだし、なんのためにそれを必要としたのでしょうか。私たちはそのような原点に立って芸術を考え、味わう場として、芸術を鑑賞し合うサロンを開催し、授業ではなかなかすべてを取り上げることが難しい舞台作品や映画を、ビデオなどで全編鑑賞する機会を設けています。これまで、映画や歌舞伎、戯曲、オペラを鑑賞し、教員が適宜解説を加えつつ、その作品についての理解を深める場として、活発な議論が戦わされました。教員が個人的に所有する「本物」の美術作品を、直接鑑賞する機会なども設けられています。
学びのポイント
芸術を「比較」しながら学ぶ
「比較」による学習・研究は、この学科の学びの基本です。1年次の「比較芸術学入門」は、本学科の専任スタッフと一部非常勤講師によってオムニバス形式でおこなわれるもので、展覧会や演奏会、舞台、映画などの鑑賞を前提に、その解説とレポート作成によって「美術」「音楽」「演劇映像」の実際を比較しながら体験的に学びます。1・2年次の「各領域と文芸」でも、2分野以上を選択することで各領域と文芸との関係とそれぞれの本質を学びます。
文章のデッサン力を鍛える
この学科では1年次の「比較芸術学入門」から3・4年次の「演習」にいたるまで、生の作品鑑賞を基本とする学習・研究を積み重ねます。そこでの鑑賞レポートはたんなる感想文ではなく、その作品が具体的に美術なら形体や色調、構図その他、音楽なら楽器や声の音色、アンサンブルその他、演劇なら役者の所作やせりふ回しその他等々、細部にいたる観察による言語化(ディスクリプション)の訓練を義務づけ、言葉のデッサン力の獲得を目指します。
古典テクストを読む
本学科は生の芸術作品を鑑賞することと並行して、古典テクストの読解にも力をいれます。芸術作品はいわば歴史や文化の「非文字資料」ですが、やはりそれらの編年や意味の詳細を理解するには文字資料であるテクストの読解が不可欠です。ある国の美術や音楽、演劇映像を真に理解するには、その国々の言語を理解せずして済ますことはできません。「原書講読」では英語はもちろん、漢文・古文のテクストもとり上げます。
芸術鑑賞の基本を学ぶ
「芸術鑑賞の方法」では、そこに何が表され、何を意味しているのかという美術解釈の基本となる図像学をはじめ、具体的な美術作品の調査法、絵画や彫刻の簡単なデッサンの技法、西洋音楽や日本伝統音楽の楽曲分析、古い楽譜の解読や演奏法、日本古典芸能や西洋演劇では演技者や舞踊家による実技を前提とした所作や動きの意味、道具の役割など、作品鑑賞に必須の基礎知識を学びます。
学科科目(必修) 学科科目(選択必修) 外国語科目 青山スタンダード科目 自由選択科目 卒業要件単位
20単位 50単位 8単位 24単位 26単位 128単位
1年次
鑑賞教育の基礎を学ぶことにより、Ⅰ美術・Ⅱ音楽・Ⅲ演劇映像それぞれのジャンルの通史的理解を前提に、それと同時代の諸文芸との関連を比較・学習することで芸術系3領域それぞれの特性のより明確な把握を目指す。
2年次
各領域における「基礎演習」「原書講読」「鑑賞の方法」などの専門科目の比較学習・研究を徹底することにより、各領域それぞれの共通性や異質性への学問的認識を深める。
3年次
2年次よりひきつづき、比較学習、研究を徹底する。各領域の専任教員のもとで本格的な演習の履修がはじまり、より専門性の高い教育内容の修得を目指す。
4年次
各領域ゼミナールとも選択必修科目の「特別演習(卒業論文)」により卒業論文(本文2万字程度)の作成指導をおこない、専門的研究の出発点とする。各専門領域の知識のさらなる修得に努める。
  1年次 2年次 3年次 4年次
専門基礎科目 比較芸術学入門A/比較芸術学入門B/西洋の文芸と美術A
西洋の文芸と音楽A/西洋の文芸と演劇映像A/日本・東洋の文芸と美術A/
日本・東洋の文芸と音楽A/日本・東洋の文芸と演劇映像A
芸術と文学/芸術と法 ※領域は次のように表されます。
Ⅰ 美術/Ⅱ 音楽/Ⅲ 演劇映像
専門選択科目
(イ)~(ホ)までは上記による、2つ以上の領域から単位を取得すること
(イ) 西洋の文芸と美術B/西洋の文芸と音楽B/西洋の文芸と演劇映像B/日本・東洋の文芸と美術B/日本・東洋の文芸と音楽B/日本・東洋の文芸と演劇映像B
(ロ) 基礎演習 Ⅰ(1)(2)(3)、Ⅱ(1)(2)、Ⅲ(1)(2)(3)
(ハ) 原書講読 Ⅰ(1)(2)(3)、Ⅱ(1)(2)、Ⅲ(1)(2)(3)
(ニ) [芸術鑑賞の方法 Ⅰ ](1)人体・静物等のスケッチと模写・模造 (2)国内外の美術館・博物館の鑑賞法 (3)美術作品の鑑賞と発表
[芸術鑑賞の方法 Ⅱ ](1)中世・ルネサンス・バロック時代の記譜法 (2)音楽作品の分析 (3)邦楽器の伝承と実際
[芸術鑑賞の方法 Ⅲ ](1)伝統芸能の鑑賞と実際 (2)舞台芸術はいかにして生まれるか (3)映像芸術の理念と鑑賞
(ホ) [比較芸術学特講 Ⅰ ](1)15~17世紀ネーデルラント絵画史 (2)西洋中・近世の美術 (3)新古典主義の美術 (4)西洋風俗画史の諸問題 (5)日本・東洋美術の特質 (6)日本中・近世~近代美術の特質 (7)・(8)飛鳥~鎌倉美術の特質
[比較芸術学特講 Ⅱ ](1)シュトラウス「サロメ」分析 (2)日本近代音楽史 (3)ロベルト・シューマン(1) (4)ロベルト・シューマン(2) (5)「近代フランス音楽」の諸相 (6)ロシアの音楽
[比較芸術学特講 Ⅲ ](1)シェイクスピア鑑賞の方法 (2)リアリズム演劇の誕生と展開 (3)河竹黙阿弥と幕末明治期の歌舞伎 (4)宝塚歌劇の歴史 (5)20世紀前半の映画 (6)20世紀後半以降の映画
(ヘ) 比較芸術学演習 Ⅰ(1)(2)(3)(4)、Ⅱ(1)(2)、Ⅲ(1)(2)(3)
(ト) 特別演習(卒業論文)
選択科目 美学・芸術思想/西洋の宗教と芸術/日本・東洋の宗教と芸術/伝統デザイン論
博物館実習Ⅰ/博物館実習Ⅱ ※3年次・4年次のみ履修可能
外国語科目 英語講読 Ⅰ/英作文 英語講読 Ⅱ/オーラル・イングリッシュ
全学共通科目 青山スタンダード科目 学部・学科の所属に関わりなく、専門領域を越えて様々な学問分野の知識を身につけます。
自由選択科目 学科科目、青山スタンダード科目、外国語選択科目の必要単位以上の履修、文学部共通科目、文学部他学科、他学部開講科目の履修が可能です。勉強したい科目を自由に選択し、卒業に必要な単位とすることができます。