青山学院大学文学部 比較芸術学科

青山学院大学文学部 比較芸術学科

カリキュラムガイド

カリキュラムの特徴

「比較学習」「古典重視」「鑑賞教育」の3つに集約されます。「比較学習」は、3領域それぞれの時代的・地域的比較はもとより、領域相互の比較検討、そして他の人文諸学との比較も含まれます。芸術が本来、各ジャンルの相互関連により成り立っていることを前提としたものです。「古典重視」は文字通り東西の古典テクストの読解を重視することです。「鑑賞教育」は生の芸術作品の鑑賞を踏まえた教育です。これら基礎の段階から徐々に専門へと、段階を追ってカリキュラムは設定されますが、大切なことはまず固定観念を棄てること、そして改めて自分にもっとも合った専門領域を選択していくことです。結果としてそれは、学生諸君の以後の幅広い芸術的視野からの学習・研究を可能とし、将来的には社会への着実な貢献を約束してくれるでしょう。

授業紹介 比較芸術学入門A 《2015年度》
一年生の必修科目「比較芸術学入門A」はオムニバス形式で全教員が交替で授業を担当します。 それぞれの専門について入門的講義を行いますが、 時に芸術諸分野の専門家をゲストスピーカーとしてお招きすることがあります。 2015年度は、落語家、桂歌丸氏と映画監督の深作健太氏においでいただきました。
落語界の重鎮桂歌丸師匠をお迎えし、落語二席(門下の桂歌助師匠による『都々逸親子』と、桂歌丸師匠による『つる』)のあと、本学科の佐藤かつら教授との対談が行われました。対談では、落語の「間」の大切さ、手拭いと扇子の扱い方、ひとりで何役も演じる醍醐味や、共に江戸時代に成立した歌舞伎との対比や学ぶ点など貴重なお話を伺いました。最後に、学科生からの「長く続けられた秘訣は?」との質問に、「好き以外何もない。芸の苦しみ、経済的な苦しみはあったけれど、先に光が在るだろうと。ただ、計算違いだったのは、先にではなく、上(頭)で光っちゃったこと(笑)
映画監督の故深作欣二氏を父にもつ健太氏は、幼少時から京都太秦など映画の現場に出入りし、その後、父子合作の『バトル・ロワイヤル』で初脚本、『同Ⅱ【鎮魂歌】』で初監督。「ジャンルを問わず、さまざまな表現に取り組みたい」との言葉通り、2015年、R・シュトラウスの『ダナエの愛』でオペラ演出家としてもデビューを果たされました。父欣二氏にとって映画製作の原点である15歳で迎えた敗戦体験から日本映画60年の歩みを説き起こし、監督作品である『仁義なき戦い』『蒲田行進曲』に込めた思いや、健太氏自身の映画、演劇、オペラとの関わりについて熱く語ってくださいました。これから船出する皆さんにと、「自らの欲望に忠実に!先輩たちの言葉にふれ、何かをつかみ前進していってください」とのメッセージをいただきました。
授業紹介 比較芸術学入門A 授業紹介 比較芸術学入門A 授業紹介 比較芸術学入門A

これまでのゲストスピーカー
2016年度
4月 劇団俳優座俳優―斉藤深雪氏、川井康弘氏、河内浩氏、小泉将臣氏 西洋の文芸と演劇映像A
5月 作家―岡田光世氏 基礎演習Ⅲ(1)
劇団民藝俳優―細川ひさよ氏 西洋の文芸と演劇映像A
劇団文学座俳優―吉野実紗氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
NHKテレビ『世界入りにくい居酒屋』番組ディレクター―北原慎一朗氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
9月 映画監督三宅唱氏・映画プロデューサー松井宏氏 比較芸術学演習Ⅲ(3)
2015年度
4月 劇団俳優座俳優 斉藤深雪氏・小山力也氏 西洋の文芸と演劇映像A
5月 劇団昴俳優 一柳みる氏・宮本充氏・矢島祐果氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
7月 劇団俳優座俳優 田野聖子氏・加藤頼氏 西洋の文芸と演劇映像A
10月 劇団昴俳優―要田禎子氏・舞山裕子氏・大島大次郎氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
11月 落語家・桂歌丸師匠 比較芸術学入門B
映画監督/舞台演出家・深作健太氏 比較芸術学入門B
12月 劇団俳優座俳優―中野誠也氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
劇団俳優座俳優―斉藤淳氏 比較芸術学特講Ⅲ(2)
1月 映画監督三宅唱氏・映画プロデューサー松井宏氏 比較芸術学特講Ⅲ(6)
2014年度
5月 劇団昴俳優 一柳みる氏・林佳代子氏・槇野萌美氏・永井誠氏・岩田翼氏 西洋の文芸と演劇映像A
歌舞伎俳優 中村橋之助丈 比較芸術学入門A
6月 劇団四季バレエ講師 戸田真美氏 西洋の文芸と演劇映像A
10月 劇団俳優座代表 岩崎加根子氏 比較芸術学入門B
11月 前板橋区立美術館館長 安村敏信氏 比較芸術学入門B
2013年度
4月 劇団四季俳優 寺田真美氏 基礎演習Ⅲ(1)
5月 劇団昴俳優 高山佳音里氏 西洋の文芸と演劇映像A
7月 歌舞伎俳優 中村勘九郎丈 比較芸術学入門A
10月 三井記念美術館参事 赤沼多佳氏 比較芸術学入門B
11月 劇団四季バレエ講師 戸田真美氏 西洋の文芸と演劇映像B
1月 文学座俳優 川辺邦弘氏・吉野実紗氏 西洋の文芸と演劇映像B
2012年度
5月 劇団昴俳優 宮本充氏・金子由之氏・町屋圭祐氏・上領幸子氏 西洋の文芸と演劇映像A
6月 劇団俳優座俳優 斉藤深雪氏 西洋の文芸と演劇映像A
10月 歌舞伎俳優 中村福助丈 日本・東洋の文芸と演劇映像A
課外ワークショップの実施
比較芸術学科では、ワークショップを実施し、美術・音楽・演劇映像を実地に触れる機会を設け、現場でしか伝えられない「鑑賞のツボ」を直に教授します。2015年度に実施した(予定を含む)催しは以下の通りです。
4月
劇団昴公演『ヴェニスの商人』観劇
劇団俳優座による演技ワークショップ
歌舞伎観劇(旧金毘羅大芝居「金丸座」)
根津美術館見学会
5月
東京国立博物館 法隆寺宝物館見学会*
劇団俳優座公演『反応工程』観劇
劇団民藝による演技ワークショップ
劇団民藝公演『炭鉱の絵描きたち』観劇
劇団文学座による演技ワークショップ
NHKテレビ『世界入りにくい居酒屋』番組ディレクターによる講演
バッハ・コレギウム・ジャパン レクチャーコンサート
6月
歌舞伎鑑賞教室(国立劇場)*
茶道文化体験(大日本茶道学会)*
劇団文学座公演『何かいけないことをしましたでしょうか?と、いう私たちのハナシ。』観劇
7月
劇団四季公演『エクウス』観劇
子供のためのシェイクスピア公演『オセロー』観劇
11月
劇団昴公演『どん底』観劇
12月
日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会*

*1年次専門基礎科目「比較芸術学入門A・B」での全員必修参加ワークショップ



芸術鑑賞サロンの開催
芸術鑑賞は、教員から学生へと教えるような縦の関係で成立するものではありません。互いに一体となって作品の素晴らしさに身を委ねる、そんな対等な関係においてこそ、真の鑑賞体験は成り立つものです。原始時代の人々はなんのために芸術を生みだし、なんのためにそれを必要としたのでしょうか。私たちはそのような原点に立って芸術を考え、味わう場として、芸術を鑑賞し合うサロンを開催し、授業ではなかなかすべてを取り上げることが難しい舞台作品や映画を、ビデオなどで全編鑑賞する機会を設けています。これまで、映画や歌舞伎、戯曲、オペラを鑑賞し、教員が適宜解説を加えつつ、その作品についての理解を深める場として、活発な議論が戦わされました。教員が個人的に所有する「本物」の美術作品を、直接鑑賞する機会なども設けられています。
学びのポイント
芸術を「比較」しながら学ぶ
「比較」による学習・研究は、この学科の学びの基本です。1年次の「比較芸術学入門」は、本学科の専任スタッフと一部非常勤講師によってオムニバス形式でおこなわれるもので、展覧会や演奏会、舞台、映画などの鑑賞を前提に、その解説とレポート作成によって「美術」「音楽」「演劇映像」の実際を比較しながら体験的に学びます。1・2年次の「各領域と文芸」でも、2分野以上を選択することで各領域と文芸との関係とそれぞれの本質を学びます。
文章のデッサン力を鍛える
この学科では1年次の「比較芸術学入門」から3・4年次の「演習」にいたるまで、生の作品鑑賞を基本とする学習・研究を積み重ねます。そこでの鑑賞レポートはたんなる感想文ではなく、その作品が具体的に美術なら形体や色調、構図その他、音楽なら楽器や声の音色、アンサンブルその他、演劇なら役者の所作やせりふ回しその他等々、細部にいたる観察による言語化(ディスクリプション)の訓練を義務づけ、言葉のデッサン力の獲得を目指します。
古典テクストを読む
本学科は生の芸術作品を鑑賞することと並行して、古典テクストの読解にも力をいれます。芸術作品はいわば歴史や文化の「非文字資料」ですが、やはりそれらの編年や意味の詳細を理解するには文字資料であるテクストの読解が不可欠です。ある国の美術や音楽、演劇映像を真に理解するには、その国々の言語を理解せずして済ますことはできません。「原書講読」では英語はもちろん、漢文・古文のテクストもとり上げます。
芸術鑑賞の基本を学ぶ
「芸術鑑賞の方法」では、そこに何が表され、何を意味しているのかという美術解釈の基本となる図像学をはじめ、具体的な美術作品の調査法、絵画や彫刻の簡単なデッサンの技法、西洋音楽や日本伝統音楽の楽曲分析、古い楽譜の解読や演奏法、日本古典芸能や西洋演劇では演技者や舞踊家による実技を前提とした所作や動きの意味、道具の役割など、作品鑑賞に必須の基礎知識を学びます。
学科科目(必修) 学科科目(選択必修) 外国語科目 青山スタンダード科目 自由選択科目 卒業要件単位
20単位 50単位 8単位 24単位 26単位 128単位
1年次
鑑賞教育の基礎を学ぶことにより、Ⅰ美術・Ⅱ音楽・Ⅲ演劇映像それぞれのジャンルの通史的理解を前提に、それと同時代の諸文芸との関連を比較・学習することで芸術系3領域それぞれの特性のより明確な把握を目指す。
2年次
各領域における「基礎演習」「原書講読」「鑑賞の方法」などの専門科目の比較学習・研究を徹底することにより、各領域それぞれの共通性や異質性への学問的認識を深める。
3年次
2年次よりひきつづき、比較学習、研究を徹底する。各領域の専任教員のもとで本格的な演習の履修がはじまり、より専門性の高い教育内容の修得を目指す。
4年次
各領域ゼミナールとも選択必修科目の「特別演習(卒業論文)」により卒業論文(本文2万字程度)の作成指導をおこない、専門的研究の出発点とする。各専門領域の知識のさらなる修得に努める。
  1年次 2年次 3年次 4年次
専門基礎科目 比較芸術学入門A/比較芸術学入門B/西洋の文芸と美術A
西洋の文芸と音楽A/西洋の文芸と演劇映像A/日本・東洋の文芸と美術A/
日本・東洋の文芸と音楽A/日本・東洋の文芸と演劇映像A
芸術と文学/芸術と法 ※領域は次のように表されます。
Ⅰ 美術/Ⅱ 音楽/Ⅲ 演劇映像
専門選択科目
(イ)~(ホ)までは上記による、2つ以上の領域から単位を取得すること
(イ) 西洋の文芸と美術B/西洋の文芸と音楽B/西洋の文芸と演劇映像B/日本・東洋の文芸と美術B/日本・東洋の文芸と音楽B/日本・東洋の文芸と演劇映像B
(ロ) 基礎演習 Ⅰ(1)(2)(3)、Ⅱ(1)(2)、Ⅲ(1)(2)(3)
(ハ) 原書講読 Ⅰ(1)(2)(3)、Ⅱ(1)(2)、Ⅲ(1)(2)(3)
(ニ) [芸術鑑賞の方法 Ⅰ ](1)人体・静物等のスケッチと模写・模造 (2)国内外の美術館・博物館の鑑賞法 (3)美術作品の鑑賞と発表
[芸術鑑賞の方法 Ⅱ ](1)音楽と、そして美術と演劇映像から複眼的に見る芸術の諸相 (2)音楽作品の分析 (3)邦楽器の伝承と実際
[芸術鑑賞の方法 Ⅲ ](1)伝統芸能の鑑賞と実際 (2)舞台芸術はいかにして生まれるか (3)映像芸術の理念と鑑賞
(ホ) [比較芸術学特講 Ⅰ ](1)15~17世紀ネーデルラント絵画史 (2)西洋中・近世の美術 (3)新古典主義の美術 (4)西洋風俗画史の諸問題 (5)日本・東洋美術の特質 (6)日本中・近世~近代美術の特質 (7)・(8)飛鳥~鎌倉美術の特質
[比較芸術学特講 Ⅱ ](1)ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」分析 (2)日本近代音楽史 (3)ヨハネス・ブラームス(1) (4)ヨハネス・ブラームス(2) (5)「近代フランス音楽」の諸相 (6)ロシアの音楽
[比較芸術学特講 Ⅲ ](1)シェイクスピア鑑賞の方法 (2)リアリズム演劇の誕生と展開 (3)江戸歌舞伎の系譜 (4)上方歌舞伎の系譜 (5)20世紀前半の映画 (6)20世紀後半以降の映画
(ヘ) 比較芸術学演習 Ⅰ(1)(2)(3)(4)、Ⅱ(1)(2)、Ⅲ(1)(2)(3)
(ト) 特別演習(卒業論文)
選択科目 美学・芸術思想/西洋の宗教と芸術/日本・東洋の宗教と芸術/伝統デザイン論
博物館実習Ⅰ/博物館実習Ⅱ ※3年次・4年次のみ履修可能
外国語科目 英語講読 Ⅰ/英作文 英語講読 Ⅱ/オーラル・イングリッシュ
全学共通科目 青山スタンダード科目 学部・学科の所属に関わりなく、専門領域を越えて様々な学問分野の知識を身につけます。
自由選択科目 学科科目、青山スタンダード科目、外国語選択科目の必要単位以上の履修、文学部共通科目、文学部他学科、他学部開講科目の履修が可能です。勉強したい科目を自由に選択し、卒業に必要な単位とすることができます。