青山学院大学文学部 比較芸術学科

青山学院大学文学部 比較芸術学科

カリキュラムガイド

カリキュラムの特徴

「比較学習」「古典重視」「鑑賞教育」の3つに集約されます。「比較学習」は、3領域それぞれの時代的・地域的比較はもとより、領域相互の比較検討、そして他の人文諸学との比較も含まれます。芸術が本来、各ジャンルの相互関連により成り立っていることを前提としたものです。「古典重視」は文字通り東西の古典テクストの読解を重視することです。「鑑賞教育」は生の芸術作品の鑑賞を踏まえた教育です。これら基礎の段階から徐々に専門へと、段階を追ってカリキュラムは設定されますが、大切なことはまず固定観念を棄てること、そして改めて自分にもっとも合った専門領域を選択していくことです。結果としてそれは、学生諸君の以後の幅広い芸術的視野からの学習・研究を可能とし、将来的には社会への着実な貢献を約束してくれるでしょう。

特別授業の紹介
一年生の必修科目「比較芸術学入門A・B」をはじめとする比較芸術学科の専門科目では、ときおり芸術諸分野の専門家をゲストスピーカーとしてお招きし特別授業を実施しています。また、比較芸術学会大会でも毎回各分野を代表する研究者や実演者、制作者の方々に講演をお願いしています。2017年度に行われた特別講演と、特別授業の中から、ご紹介します。

2017年度の比較芸術学会大会の特別講演には、「子供のためのシェイクスピア」シリーズの台本制作・演出・主演を20年以上にわたってつとめ、今日の演劇界に大きな存在感を示してこられた俳優・演出家の山崎清介氏をお招きしました。山崎さんが役者を目指したきっかけを皮切りに、「子供のためのシェイクスピア」が現在のスタイルになった経緯をお話しになり、戯曲を読むコツなど含蓄にとんだお話をたっぷり聞かせていただきました。ファンにはおなじみの、かわいいシェイクスピア人形の登場に会場が沸きました。大会後の懇親会ではたくさんの学生に取り囲まれ、熱心に質問に答えてくださいました。
特別授業の紹介 特別授業の紹介

漆黒の中に浮かび上がる華麗な金銀文様。日本独特の美を持つ蒔絵(漆で絵を描いたところに金粉などを蒔く装飾技法)は、ヨーロッパでjapanと呼ばれて憧憬されました。
12月22日(金)の「芸術鑑賞の方法」の授業では、芸術鑑賞サロンの一環として、蒔絵の分野で重要無形文化財保持者(人間国宝)の室瀬和美先生に、「漆と日本文化」と題したお話を伺いました。自然と対話しながら高度な技法を重ねてゆく先生の制作風景に息をのむ学生たち。「漆を知ることは日本人を知ることです」。縄文時代の漆文化からマリーアントワネットの蒔絵コレクションまで、漆を通じて日本が世界に伝えてゆくべきものを真剣に考えさせられました。
特別授業の紹介 特別授業の紹介

これまでのゲストスピーカー
2018年度
4月 歌舞伎俳優―中村児太郎丈 比較芸術学特講Ⅲ(3)
声優―伊藤美紀氏 比較芸術学演習ⅢA(1)
5月 (公財)文化財建造物保存技術協会―賀古唯義氏 日本・東洋の文芸と演劇映像B
劇団昴俳優―田渕真弓氏 比較芸術学特講ⅢA(1)
劇団俳優座俳優―斉藤深雪氏・千賀功嗣氏 西洋の文芸と演劇映像A
劇団四季バレエ講師―戸田真美氏 比較芸術学演習ⅢA(1)
9月 映画監督―三宅唱氏 比較芸術学演習ⅢC(2)
プロデューサー・翻訳家―松井宏氏 比較芸術学演習ⅢC(2)
2017年度
4月 歌舞伎俳優―中村児太郎丈 比較芸術学入門A
5月 俳優―保坂知寿氏 西洋の文芸と演劇映像A
劇団昴演出家―菊池准氏、劇団昴俳優―町屋圭祐氏 西洋の文芸と演劇映像A
6月 歌舞伎俳優―中村歌昇丈 比較芸術学特講Ⅲ(1)
劇団四季俳優―間辺朋美氏 西洋の文芸と演劇映像A
劇団四季俳優―塚田健人氏 芸術と文学
7月 映画監督―三宅唱氏 比較芸術学演習Ⅲ(3)
プロデューサー、翻訳家―松井宏氏 比較芸術学演習Ⅲ(3)
9月 演出家―串田和美氏 比較芸術学入門B
10月 劇団俳優座俳優―斉藤淳氏、佐藤あかり氏、松崎建ん語氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
2016年度
4月 劇団俳優座俳優―斉藤深雪氏、川井康弘氏、河内浩氏、小泉将臣氏 西洋の文芸と演劇映像A
5月 作家―岡田光世氏 基礎演習Ⅲ(1)
劇団民藝俳優―細川ひさよ氏 西洋の文芸と演劇映像A
劇団文学座俳優―吉野実紗氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
NHKテレビ『世界入りにくい居酒屋』番組ディレクター―北原慎一朗氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
9月 映画監督三宅唱氏・映画プロデューサー松井宏氏 比較芸術学演習Ⅲ(3)
2015年度
4月 劇団俳優座俳優 斉藤深雪氏・小山力也氏 西洋の文芸と演劇映像A
5月 劇団昴俳優 一柳みる氏・宮本充氏・矢島祐果氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
7月 劇団俳優座俳優 田野聖子氏・加藤頼氏 西洋の文芸と演劇映像A
10月 劇団昴俳優―要田禎子氏・舞山裕子氏・大島大次郎氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
11月 落語家・桂歌丸師匠 比較芸術学入門B
映画監督/舞台演出家・深作健太氏 比較芸術学入門B
12月 劇団俳優座俳優―中野誠也氏 比較芸術学演習Ⅲ(1)
劇団俳優座俳優―斉藤淳氏 比較芸術学特講Ⅲ(2)
1月 映画監督三宅唱氏・映画プロデューサー松井宏氏 比較芸術学特講Ⅲ(6)
2014年度
5月 劇団昴俳優 一柳みる氏・林佳代子氏・槇野萌美氏・永井誠氏・岩田翼氏 西洋の文芸と演劇映像A
歌舞伎俳優 中村橋之助丈 比較芸術学入門A
6月 劇団四季バレエ講師 戸田真美氏 西洋の文芸と演劇映像A
10月 劇団俳優座代表 岩崎加根子氏 比較芸術学入門B
11月 前板橋区立美術館館長 安村敏信氏 比較芸術学入門B
2013年度
4月 劇団四季俳優 寺田真美氏 基礎演習Ⅲ(1)
5月 劇団昴俳優 高山佳音里氏 西洋の文芸と演劇映像A
7月 歌舞伎俳優 中村勘九郎丈 比較芸術学入門A
10月 三井記念美術館参事 赤沼多佳氏 比較芸術学入門B
11月 劇団四季バレエ講師 戸田真美氏 西洋の文芸と演劇映像B
1月 文学座俳優 川辺邦弘氏・吉野実紗氏 西洋の文芸と演劇映像B
2012年度
5月 劇団昴俳優 宮本充氏・金子由之氏・町屋圭祐氏・上領幸子氏 西洋の文芸と演劇映像A
6月 劇団俳優座俳優 斉藤深雪氏 西洋の文芸と演劇映像A
10月 歌舞伎俳優 中村福助丈 日本・東洋の文芸と演劇映像A
課外ワークショップの実施
比較芸術学科では、ワークショップを実施し、美術・音楽・演劇映像を実地に触れる機会を設け、現場でしか伝えられない「鑑賞のツボ」を直に教授します。2018年度に実施した(予定を含む)催しは以下の通りです。
4月
中村児太郎丈(歌舞伎俳優)による講演
伊藤美紀氏(声優)によるワークショップ
5月
東京国立博物館見学
賀古唯義氏(文化財建造物保存技術協会)による講演
田渕真弓氏(劇団昴俳優)によるワークショップ
斉藤深雪氏・千賀功嗣氏(劇団俳優座俳優)によるワークショップ
文学座公演『牡丹灯籠』観劇
6月
劇団昴公演『冬・ダウィー夫人の勲章』観劇
7月
歌舞伎鑑賞教室(国立劇場)
戸田真美氏(劇団四季バレエ講師)によるワークショップ
子供のためのシェイクスピア公演『冬物語』観劇
劇団俳小特別プロジェクト公演『女人嵯峨』観劇
11月
日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会
12月
文楽鑑賞教室(国立劇場)



芸術鑑賞サロンの開催
芸術鑑賞は、教員から学生へと教えるような縦の関係で成立するものではありません。互いに一体となって作品の素晴らしさに身を委ねる、そんな対等な関係においてこそ、真の鑑賞体験は成り立つものです。原始時代の人々はなんのために芸術を生みだし、なんのためにそれを必要としたのでしょうか。私たちはそのような原点に立って芸術を考え、味わう場として、芸術を鑑賞し合うサロンを開催し、授業ではなかなかすべてを取り上げることが難しい舞台作品や映画を、ビデオなどで全編鑑賞する機会を設けています。これまで、映画や歌舞伎、戯曲、オペラを鑑賞し、教員が適宜解説を加えつつ、その作品についての理解を深める場として、活発な議論が戦わされました。教員が個人的に所有する「本物」の美術作品を、直接鑑賞する機会なども設けられています。
学びのポイント
芸術を「比較」しながら学ぶ
「比較」による学習・研究は、この学科の学びの基本です。1年次の「比較芸術学入門」は、本学科の専任スタッフと一部非常勤講師によってオムニバス形式でおこなわれるもので、展覧会や演奏会、舞台、映画などの鑑賞を前提に、その解説とレポート作成によって「美術」「音楽」「演劇映像」の実際を比較しながら体験的に学びます。1・2年次の「各領域と文芸」でも、2分野以上を選択することで各領域と文芸との関係とそれぞれの本質を学びます。
文章のデッサン力を鍛える
この学科では1年次の「比較芸術学入門」から3・4年次の「演習」にいたるまで、生の作品鑑賞を基本とする学習・研究を積み重ねます。そこでの鑑賞レポートはたんなる感想文ではなく、その作品が具体的に美術なら形体や色調、構図その他、音楽なら楽器や声の音色、アンサンブルその他、演劇なら役者の所作やせりふ回しその他等々、細部にいたる観察による言語化(ディスクリプション)の訓練を義務づけ、言葉のデッサン力の獲得を目指します。
古典テクストを読む
本学科は生の芸術作品を鑑賞することと並行して、古典テクストの読解にも力をいれます。芸術作品はいわば歴史や文化の「非文字資料」ですが、やはりそれらの編年や意味の詳細を理解するには文字資料であるテクストの読解が不可欠です。ある国の美術や音楽、演劇映像を真に理解するには、その国々の言語を理解せずして済ますことはできません。「原書講読」では英語はもちろん、漢文・古文のテクストもとり上げます。
芸術鑑賞の基本を学ぶ
「芸術鑑賞の方法」では、そこに何が表され、何を意味しているのかという美術解釈の基本となる図像学をはじめ、具体的な美術作品の調査法、絵画や彫刻の簡単なデッサンの技法、西洋音楽や日本伝統音楽の楽曲分析、古い楽譜の解読や演奏法、日本古典芸能や西洋演劇では演技者や舞踊家による実技を前提とした所作や動きの意味、道具の役割など、作品鑑賞に必須の基礎知識を学びます。
学科科目(必修) 学科科目(選択必修) 外国語科目 青山スタンダード科目 自由選択科目 卒業要件単位
20単位 50単位 8単位 24単位 26単位 128単位
1年次
鑑賞教育の基礎を学ぶことにより、Ⅰ美術・Ⅱ音楽・Ⅲ演劇映像それぞれのジャンルの通史的理解を前提に、それと同時代の諸文芸との関連を比較・学習することで芸術系3領域それぞれの特性のより明確な把握を目指す。
2年次
各領域における「基礎演習」「原書講読」「鑑賞の方法」などの専門科目の比較学習・研究を徹底することにより、各領域それぞれの共通性や異質性への学問的認識を深める。
3年次
2年次よりひきつづき、比較学習、研究を徹底する。各領域の専任教員のもとで本格的な演習の履修がはじまり、より専門性の高い教育内容の修得を目指す。
4年次
各領域ゼミナールとも選択必修科目の「特別演習(卒業論文)」により卒業論文(本文2万字程度)の作成指導をおこない、専門的研究の出発点とする。各専門領域の知識のさらなる修得に努める。
  1年次 2年次 3年次 4年次
専門基礎科目 比較芸術学入門A/比較芸術学入門B/西洋の文芸と美術A
西洋の文芸と音楽A/西洋の文芸と演劇映像A/日本・東洋の文芸と美術A/
日本・東洋の文芸と音楽A/日本・東洋の文芸と演劇映像A
芸術と文学/芸術と法 ※領域は次のように表されます。
Ⅰ 美術/Ⅱ 音楽/Ⅲ 演劇映像
専門選択科目
(イ)~(ホ)までは上記による、2つ以上の領域から単位を取得すること
(イ) 西洋の文芸と美術B/西洋の文芸と音楽B/西洋の文芸と演劇映像B/日本・東洋の文芸と美術B/日本・東洋の文芸と音楽B/日本・東洋の文芸と演劇映像B
(ロ) 基礎演習 Ⅰ(1)(2)(3)、Ⅱ(1)(2)、Ⅲ(1)(2)(3)
(ハ) 原書講読 Ⅰ(1)(2)(3)、Ⅱ(1)(2)、Ⅲ(1)(2)(3)
(ニ) [芸術鑑賞の方法 Ⅰ ](1)人体・静物等のスケッチと模写・模造 (2)国内外の美術館・博物館の鑑賞法 (3)美術作品の鑑賞と発表
[芸術鑑賞の方法 Ⅱ ](1)中世・ルネサンス・バロック時代の記譜法 (2)音楽作品の分析 (3)邦楽器の伝承と実際
[芸術鑑賞の方法 Ⅲ ](1)伝統芸能の鑑賞と実際 (2)舞台芸術はいかにして生まれるか (3)映像芸術の理念と鑑賞
(ホ) [比較芸術学特講 Ⅰ ](1)15~17世紀ネーデルラント絵画史 (2)西洋中・近世の美術 (3)新古典主義の美術 (4)西洋風俗画史の諸問題 (5)日本・東洋美術の特質 (6)日本中・近世~近代絵画の特質 (7)・(8)飛鳥~鎌倉時代の宗教美術の特質
[比較芸術学特講 Ⅱ ](1)シュトラウス「サロメ」分析 (2)日本近代音楽史 (3)ロベルト・シューマン(1) (4)ロベルト・シューマン(2) (5)「近代フランス音楽」の諸相 (6)ロシアの音楽
[比較芸術学特講 Ⅲ ](1)シェイクスピア鑑賞の方法 (2)リアリズム演劇の誕生と展開 (3)幕末・明治期の歌舞伎 (4)近代の歌舞伎 (5)20世紀前半の映画 (6)20世紀後半以降の映画
(ヘ) 比較芸術学演習 Ⅰ(1)(2)(3)(4)、Ⅱ(1)(2)、Ⅲ(1)(2)(3)
(ト) 特別演習(卒業論文)
選択科目 美学・芸術思想/西洋の宗教と芸術/日本・東洋の宗教と芸術
博物館実習Ⅰ/博物館実習Ⅱ ※3年次・4年次のみ履修可能
外国語科目 英語講読 Ⅰ/英作文 英語講読 Ⅱ/オーラル・イングリッシュ
全学共通科目 青山スタンダード科目 学部・学科の所属に関わりなく、専門領域を越えて様々な学問分野の知識を身につけます。
自由選択科目 学科科目、青山スタンダード科目、外国語選択科目の必要単位以上の履修、文学部共通科目、文学部他学科、他学部開講科目の履修が可能です。勉強したい科目を自由に選択し、卒業に必要な単位とすることができます。