青山学院大学文学部 比較芸術学科

青山学院大学文学部 比較芸術学科

インタビュー

学生4人にインタビュー

[参加メンバー]
司会 : 広瀬大介(本学科教授、西洋音楽史)
【美  術】西洋美術専攻(高橋ゼミ) 3年 橋爪大輔
日本・東洋美術専攻(出光ゼミ) 3年 佐藤隼祐
【音  楽】西洋音楽専攻(那須ゼミ) 3年 和泉奈弥
【演劇映像】西洋演劇専攻(佐久間ゼミ) 3年 今井里緒
日本古典芸能専攻(佐藤ゼミ) 3年 林希美


広瀬
まずは、皆さんがこの比較芸術学科をどのように知り、なぜ受けようと思ったのかを教えて下さい。
大学には行くつもりでしたが、「どこの学科へ行こう」とかは決めてなかったです。受験科目から、数学・英語・国語、すべてが使えるような経済系の学部に行こうと思ったのですが、授業内容を見てみると「私には合ってないな」と。趣味として好きなものは芸術系に多かったので、いろいろ調べたところ比較芸術学科を発見し、「これこそお金を出して学びたいものだ」と思いました。それから、苦手な日本史をどうにかこねくり回して(笑)、何とか間に合わせました……って感じです。入学後も日本史、役立ってます。

和泉
私も正直、最初の頃は芸術を勉強しようとはあまり思っていませんでした。でも小さいころから、バレエやエレクトーンなどに触れてきて、ずっと好きではありました。大学に進む時に、絶対に東京に上京したいと思い、パンフレットを見て、「あ、こういう学科があるのか」と。芸術って音楽大学や美術大学とか、実践を教える大学じゃないと勉強できないっていうイメージがありましたが、こういうかたちで勉強ができるこの学科は素晴らしいです。幅広いところから学んで、段々専門的になっていくカリキュラムがよいと思いました。
佐藤
もともと小学校から高校までずっと音楽にたずさわり、吹奏楽とか合唱とかピアノ伴奏をしていたのですが、あまり実技に自信がなくて、音大は最初から諦めていました。でも芸術は捨てられず、世界史も得意だったので文化史も学びたいと思っていたんです。でも、今は専門が美術になり、思わぬ出会いっていうのもこの学科にはあるなあと、勉強して実感しています。
橋爪
僕は和歌山県出身で、服を作りたくて上京してきたのですが、親からはちゃんと大学には行きなさいって言われていました。好きなファッションデザイナーとかの経歴とかを眺めていたら、青学にも有名な人がいて、それ以外にも、美術を勉強したあとにファッションで活躍している方がいらっしゃった。遠回りというわけではないけども、大学に行っても楽しいんじゃないかなって思って。
今井
もともとミュージカルが普通に趣味として好きだったので、最初は青学の英米文学科を選んでいました。ただ、1度進路に迷ってしまった時があって、英米文学に決め手がなくなってしまいました。何を学びたいのか、自分の「好き」を振り返った時に、ミュージカルなどの演劇っていう分野に絞って勉強すればいいのでは、と考えたのです。調べていくうちに、比較芸術学科は自分の好きな分野を学べる専門性の高さと、美術や音楽も学べる視野の広さも兼ね備えているところに魅力を感じました。オープンキャンパスで受けた佐久間先生の模擬授業も素晴らしく、人として尊敬できる方で、この先生のもとで勉強したいと思いました。

広瀬
皆さん、憧れの学科への入学、おめでとうございます(笑)。そんな学科での学び、とくに3年生になってから所属している各先生のゼミナールの様子などを教えて下さい。
1年生のとき、とにかく全分野・全科目・全時代触れる授業のあとに、「歌舞伎めちゃめちゃ面白いじゃん」と。2年で佐藤かつら先生の講義を受講して、先生の授業スタイルや話の角度に共感できるところがあり、そのままゼミに進みました。現代と共通する点、共通しない点、時代に合わせて変わっていった点などをちゃんと教えてくれて、自分が考える余裕を与えてくれるゼミです。佐藤先生は、初心者である我々に手取り足取り教えてくれます。歌舞伎俳優のOBも多くて、直接話を聞けるのは、やはりこの大学ならではですね。
和泉
入学した直後は、音楽かミュージカル系を専攻したいなとは思っていて、実際に授業を受けてそちらに固まっていきました。2年からは音楽の授業を中心に取得した感じです。合唱をずっと続けているので、グレゴリオ聖歌、ルネサンスポリフォニーなど、音楽史の源流を勉強できたらなと思って、那須ゼミにしました。少人数なのもあって、やりたいことを自由にやらせてくれます。4年生は卒論の報告、3年生は英語で書かれたアンソロジー(譜例集)から自分の好きな曲を選んで発表します。楽しく勉強しています。那須先生は、言葉で厳しくいうことはなくても、学生に求めるレベルは高いです。積極的に勉強しようとする姿勢を、高く評価してくれます。
佐藤
1年生の後期に出光先生の授業を受けたときに、サントリー美術館に狩野元信を観に行ったのが、衝撃の出会いでした。感性を言葉で表す難しさ・楽しさを感じ、それを書いているうちに日本美術に興味が湧き出して、出光ゼミに入りました。今は4年生が発表して、その後に3年生が発表しています。1回の授業で2~3人が担当しますが、4年生の発表を見て「あそこまで自分もできるかな」と心配になります。僕は俵屋宗達を選びました。あまり資料が残ってない人の作品をとりあげるのは想像力を掻き立てられるのですが、レジュメ作るのがとても悩ましい。
橋爪
僕は、ドイツの美術、とくに風景画をしっかり勉強したいです。高橋先生はドイツ美術のご専門ではないですけど、風景画研究のつながりで、先生のゼミに入ろうと思いました。デューラーだけではなく、ベンヤミンとかアドルノとか、思想系も好きなんです。時代も何もかも離れていますが、どこか共通する要素を感じます。高橋先生は豊富な知識の中からほとんどを捨てて授業していらっしゃいます。授業で言えることって数少なくて、「この人は、多くの知識の中から、なぜいま、これを言っているのか」を考えながら聞けるようになりました。
今井
実際に入った佐久間ゼミは、本当に楽しいです。今はシェイクスピアの『お気に召すまま』を精読しつつ、あとは、蜷川幸雄演出の舞台を映像で観ています。すごく楽しいですね。自分の好きなことがこんなに専門的に学べるかって思うと、本当に恵まれていると思います。初恋が叶ったような気分です(笑)。学生は、それぞれが発言したいときに発言し、とても自由な雰囲気です。佐久間ゼミでは鑑賞会があって、舞台を皆で、希望者が観に行きます。自分が普段行かないような舞台もあるので、いつも新しい発見があります。


広瀬
今後この学科で得た学びをどう活かしていきたいか、将来について考えていることがあれば教えて下さい。
一般企業で就職しようとは思っていますが、今後生きていく中で、好きなものがなくなることはないです。どうしてそれが好きなのか、どこが好きなのかを説明できる人間になりたいとは思いますね。
今井
比較芸術学科って、他学科と比べてレポートの数が尋常じゃなく多い。芸術という、明確に言葉にしづらいものを表現したり、批評しようとしたり、そんな姿勢そのものが、この学科で糧になるものだと思っています。自分が知らなかった世界の魅力を発信したり、伝えたりできるお仕事があればいいな、と。
橋爪
僕は、大学院に行きたいと思っています。デューラー、風景画、ドイツ語、学ばなくてはいけないことは山積みですね。
佐藤
学科やゼミで学んだことが100%活きる仕事っていうのはなかなかないと思うので、できるだけそれを伝えられる場所を目指すつもりです。一般企業で、アカデミックな世界じゃなくて、違う世界でも日本美術が伝えられればいいな、と。美術館とか展覧会の作品解説が特に好きで、「短い分量で、なんでこんなに作品のこと説明できるんだろう」って。作品解説を見て、実際の作品にも触れたいと思わせるようなものが書いてみたいです。
広瀬
自分が考えたことや感じたことを「言語化」することの大切さを、授業では散々言い尽くしています。他のひとに芸術の素晴らしさを伝えるために、まずは自分がそれを言語化できるよう、訓練しなくてはならないですよね。皆さんがそれをちゃんと実践してくださっているのは、教員として大変嬉しいです。ありがとうございます。

広瀬
最後に、この学科を受けたいと思っている受験生へのアドヴァイス、是非教えて下さい。
日本史、頑張れよ(笑)。
橋爪
それ言ったら、世界史も英語もな、ってなる(笑)。
結局全部だよー(笑)。どんな学びも、いま、活きてます。高校生の時「なんで年号まで覚えるんだ?」って思っていましたけど、時代の流れを知る上では絶対に必要です。
佐藤
いま僕が困っているのは、語彙力のなさ(笑)。作品の魅力を伝える文章を読むとき、「あ、美しい日本語だな」と思うことが本当に多いです。「こんな言葉知らねえよ」みたいなのがとても多いから、もっと語彙を増やしたい。いまから、新聞や小説で読書量を確保して欲しいです。
形容詞の使い方もそう。「匂い立つような美しさ」とか初めて聞いた!って(笑)思ったんで。どうせなら受験勉強の息抜きも比芸っぽいことしてほしいですね。ミュージカル行くのもありですよ。ちゃんと元気ももらえるし。
今井
受験生の時に異様なほどに洋画を観ていました。受験生って、遊ぶ予定を立てられないですよね。罪悪感もあるし、「勉強しなきゃ」って思うから、友達と遊ぶ約束とかは作らなかったですけど、日常的に芸術に触れておけば、比芸に入ってから役立つものが必ずあると思います。