[参加メンバー]
司会 : 広瀬大介(本学科教授、西洋音楽史研究)
【音 楽】西洋音楽専攻(那須ゼミ) 3年 宮本茉奈
【演劇映像】映像専攻(三浦ゼミ) 3年 橋本里々花
【美 術】東洋美術専攻(津田ゼミ) 3年 佐藤帆栞
司会 : 広瀬大介(本学科教授、西洋音楽史研究)
【音 楽】西洋音楽専攻(那須ゼミ) 3年 宮本茉奈
【演劇映像】映像専攻(三浦ゼミ) 3年 橋本里々花
【美 術】東洋美術専攻(津田ゼミ) 3年 佐藤帆栞
- 広瀬
- まずは、この学科を志望した理由、入るためにとどんな勉強をしたか、どんなことに興味があるかを教えてください。
- 佐藤
- 幼少期から絵を描くことが好きで、美術作品に対する関心がもともと高かったなと思います。また、母が音楽好きで、ピアノを習っていた時がありました。私が通っていた中高一貫校では、講演会の感想や意見を紙1枚にまとめて提出する課題があったので、特別な小論文の対策はしなかったです。ただ、過去問を見て、美術や音楽、映像だったら、どんなことが書けそうかなと戦略を立てる訓練はしていました。 美術なら印象派やルネサンスの美術が好きだったので、知識を学んだり、関心を持って本を読んだり。
- 宮本
- 高校時代に師事してたピアノの先生が、演奏技術だけでなく、曲の作曲背景や作曲家自身の話もしてくださる方で、音楽分析にも興味を持っていました。比芸の入試は小論文の重要性が高いですが、対策を立てたくても過去問がまだ少ないですよね。学校の先生に相談して、他大学の音楽関連の学部・学科の小論文の問題を使って対策を立ててました。過去問を見ると、 毎年、若干設問の傾向が違っているので、さまざまな方面から考えて、違う文章を書けるように、どの角度からその曲について聞かれても答えられるように、説明する訓練を意識していました。
- 橋本
- 一般入試ではなく指定校推薦でした。私は女優とその演技に興味があり、三浦先生のゼミ合宿では映画を撮影することを知って、それに参加したいと思ったんです。指定校推薦の場合、勉強方法はもう学校の成績を良くするしかない(笑)。中間テストや期末テストの前、朝3時ぐらいに起きて、学校に6時半くらいに着いて勉強するのが、我ながら青春って感じでした。指定校推薦用の小論文については、あらかじめ課題が出されていたので、演劇だけでなく、美術や音楽に関する知識を得つつ書きました。
- 広瀬
- 皆さんは高校時代に、かなり芸術を勉強してきたと思います。大学に入ってからはさまざまな授業を受けてきたと思いますが、自分の興味を伸ばすことはできましたか?自分が属しているゼミの先生の魅力について、語ってもらえると嬉しいです。
- 佐藤
- 津田徹英先生は、東洋の美術、特に仏像を研究されていますが、西洋美術やアニメ、漫画にも幅広く関心を持たれていて、ゼミでも自由に好きな作品を選んで、比較・研究してほしいと仰ったのが印象的でした。
ゼミ発表では、尾形光琳の『燕子花図屏風』と、俵屋宗達の『風神雷神図屏風』を比較しました。燕子花図屏風は緑青と群青をメインに使われているので、金地と色彩的な対比がある。一方で、風神雷神図屏風は白・緑・黒がメインで使われているので、金地を背景とした時に浮いてしまう、などを指摘しました。また、風神雷神図屏風は三種類存在するのですが、津田先生からは、「3作品はどのような順番で作られたか、表現の違いはどこにあるかを考えると、技術・作品の比較になる」と教わりました。とても授業が面白く、馴染みのなかった仏像にも親近感を持って接するきっかけとなりました。 - 宮本
- 私は中世・ルネサンス・バロック音楽の那須輝彦先生と、近現代音楽の広瀬大介先生のゼミに同時に所属しています。今年度、那須先生は研究休暇で1年お休みなので、代わりに担当してくださっている藤原一弘先生のゼミでは、古楽器を実際に見学に行ったり、プロの演奏家の人たちをお招きして実際に演奏していただいたりする機会があります。広瀬先生のゼミは、和声法の勉強と楽曲分析を毎回メインでやっていて、オペラなど実際の舞台・演奏会の鑑賞の機会があります。
両方のゼミを受けてみて、時代によって、音楽を聞く受け手の姿勢が全然違うことに驚きました。クラシック音楽って古い昔の音楽みたいな感覚で捉えられがちかと思うんですけど、その音楽を初めて聞いた当時の人の立場を考えて、はじめて見えてくるものがありますね。比芸でさまざまな時代を勉強して、あらゆる角度から音楽について考えると、音楽の聞き方や弾き方も変わるんじゃないかなと思います。 - 橋本
- 私は三浦哲哉先生のゼミに所属しています。 三浦先生のゼミは主に古典映画を中心に研究していて、毎回学生発表があります。今年度は、ジョン・ カサヴェテスの監督作品を時代ごとに発表していく形で、私は『こわれゆく女』という映画を担当しました。グループ発表の3人が違う視点から発表するため、私はカメラについて研究しました。ただ、最低でも3回映画を見ないといけなかったのですが、精神的にしんどい映画だったので、それが辛かった。
三浦先生からは、まず映画のタイトルと日本語のタイトルがなぜ違うのか、そこについて触れなかったのはなぜか、と指摘を頂きました。自分たちの担当した映画だけではなく、他の作品も見ないといけなかったのですが、白黒映画で字幕もなく、正確には読み取れなかった。古典映画における描写手法への理解も必要だなと痛感しました。 - 広瀬
- では、学生生活の愉しさ、あるいは先生方の魅力などについてもお話しください。
- 佐藤
- 比芸の先生方って、皆さんフレンドリーですよね。1学年が100人いない小規模な学科なので、先生も学生の顔をだいたい覚えてますよ、みたいな感じで接してくれます。先生同士の仲もかなりいいのでは(笑)。
- 広瀬
- 仲いいと思いますよ。会議も飲み会も和気あいあいとやってます(笑)。
- 橋本
- 三浦ゼミは、本当に映画が好きな人が多くて、自分はこの監督が好きだけど、別の人はこの監督が好き、みたいな。互いの「推し」を尊重している雰囲気はありますね。
- 広瀬
- 好きなものが同じひとたちが集まる集団っていうのは、社会全体を見回してもなかなかないんじゃないかな。他の学部・学科の学生とかと喋ってても、比芸の学生はかなり雰囲気が違う気がする。
- 橋本
- 変わってるね、って言われます。うん、やっぱり、比芸っぽいみたいなところはありますね。(笑)
- 宮本
- 1、2年生が終わって、3年生になると、青山スタンダード(一般教養科目)もなくて、のびのび好きなことだけ勉強できるから、趣味の延長で大学に行ってる感じの人が多いのかなって思います。私を含め。だから、勉強が苦じゃない。
- 広瀬
- 最後に、受験生へのメッセージはありますか?
- 佐藤
- 比較芸術学科を目指すとなると、日本史あるいは世界史を勉強されてる方が多いんじゃないかなと思うので、政治・社会と文化史がどのようにかかわっているかを気にしながら勉強すると、実際の作品の理解が深まり、より好きになることができるはずです。
- 宮本
- 私は入学する前から、ここに入ったら絶対に音楽をやる、って決めていたタイプですが、さまざまな分野に触れて、あれもいいな、これもいいなっていう風に楽しむ余裕も重要だな、と思えるようになりました。この大学は、周りに美術館、コンサートホール、小劇場などが数多くあって、芸術のことを勉強するのに恵まれた環境にあります。そこから全部吸い取ってやるくらいの勢いを持って、自分から勉強できた方が楽しいんじゃないかな。
- 橋本
- 視覚、聴覚に加えて、嗅覚、匂いをかぐことを大事にした方がいいかなと思います。例えば映画館へ行ってそこでしか味わえない匂いとか、ポップコーンの匂いとか、美術館行くまでの道のりの公園で感じられる匂いを大事にしてほしいな、と。
- 広瀬
- 嗅覚ですか。グルメな感覚も大事にされるところは、まさに三浦ゼミ生の鑑ですね(笑)。
今日は本当にありがとうございました。皆さんの残りの学生生活が豊かなものになるよう、我々教員も全力で頑張ります!