青山学院大学文学部 比較芸術学科

青山学院大学文学部 比較芸術学科

大学院

大学院 文学研究科 比較芸術学専攻

本専攻は、急激に変化しつつある今日の国際社会や地球環境のなかで、社会や自然と芸術との関係、および芸術がこれまでの人間の歴史や社会に果たした役割などを改めて考えることを基本としています。したがって、芸術系諸学との相互関係はもとより、歴史や哲学、文学をはじめとする人文科学系諸学とのそれをも踏まえながら深く掘り下げ、研究することがその目的です。
本専攻で取り上げる領域は学部段階(本学文学部比較芸術学科)と同じく、芸術系諸学のなかでも中心的かつ古典的な研究の蓄積をもつ美術史学、音楽学、演劇映像学の諸分野であり、志望する学生は、各自希望する領域の基礎的学力を備えていることが前提となります。そして、入学後はその基礎のうえに立ってそれぞれ専門分野の研究に入りますが、そこでは常に上記の他領域に関心のまなざしを向け、それらとの比較をつうじた専門的な視野が要求されるでしょう。
授業は、実作品の鑑賞研究を中心に、文献史料の読解力を蓄える原典講読や論文執筆のための文章力を鍛えるレポート作成、そしてプレゼンテーション能力を高める課題発表などで構成されています。博士前期課程では、そのそれぞれについて学部段階よりはいっそうの充実が求められ、成果を修士論文としてまとめることとなり、また同後期課程では、学会発表や学術誌への投稿を経て、博士論文の作成が最終の目的となります。これらの研究過程で、専門分野における社会貢献や就職の道もひらかれることでしょう。
比較芸術学専攻 博士前期課程
  授業科目
基礎科目 比較芸術学研究法Ⅰ、Ⅱ 比較人文学研究法Ⅰ、Ⅱ
専門科目 日本・東洋美術史( 1 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
日本・東洋美術史( 2 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
日本・東洋美術史( 3 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
西洋美術史( 1 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
西洋美術史( 2 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
西洋美術史( 3 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
日本・東洋美術史( 1 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
日本・東洋美術史( 2 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
日本・東洋美術史( 3 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
西洋美術史( 1 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
西洋美術史( 2 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
西洋美術史( 3 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
日本・東洋音楽史研究Ⅰ、Ⅱ
西洋音楽史( 1 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
西洋音楽史( 2 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
日本・東洋音楽史演習Ⅰ、Ⅱ
西洋音楽史( 1 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
西洋音楽史( 2 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
日本芸能論研究Ⅰ、Ⅱ
西洋演劇論研究Ⅰ、Ⅱ
映像文化論( 1 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
映像文化論( 2 ) 研究Ⅰ、Ⅱ
日本芸能論演習Ⅰ、Ⅱ
西洋演劇論演習Ⅰ、Ⅱ
映像文化論( 1 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
映像文化論( 2 ) 演習Ⅰ、Ⅱ
研究指導 研究指導演習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ

学生インタビュー

比較芸術学専攻 博士前期課程2年 山下 実紗
比較芸術学専攻
博士前期課程2年

山下 実紗さん

 高校生の時から音楽を聴くことが大好きだった私は、比較芸術学科に入学し、授業や課題を通して、知識を得たり、芸術を言葉で表現したりする練習をしました。ずっと好きだった作品にはどのような魅力があり、なぜ好きなのかということを見直すきっかけにもなりました。古今東西の傑作について考え、芸術を愛する友人たちと意見を交換できることがこの学科の魅力です。
 学部の4年間では幅広く知識を得ることができましたが、より専門的に音楽を学びたいと思い、大学院への進学を決めました。現在は、フランスの作曲家クロード・ドビュッシーについて研究しています。大学院では、じっくりと時間をかけながら自分の興味と向き合うことができます。もちろん、学部時代と同様にさまざまな専門の先生方から指導を受けることができ、毎日新たな発見の連続です。それぞれの興味や意欲を持った大学院生の仲間たちも集まり、お互いに支えながら研究活動をすることができ、とても充実した日々を送っています。

修了生からのメッセージ

郡山市立美術館 比較芸術学専攻 2020年度修了 鈴木 えみこ
郡山市立美術館
比較芸術学専攻
2020年度修了

鈴木 えみこさん

深く学び、広く知る

 比較芸術学科を目指す人の中には、「学芸員」なんて仕事もいいな、と考えている方もいるかもしれません。私も一度企業に就職した後に、やはり学科で学んだことを活かして働きたいと思い直し、大学院に入りました。
 大学院では研究に打ち込み、そして研究方法を体得していくことが大切です。しかし実際の学芸業務では、一つの研究だけに没頭していればいいという事はほとんどなく、様々な地域や時代の文化芸術についての知識も必要とされます。その意味では、比較芸術学科・専攻で広く芸術分野について学んだことは、私の今の仕事においてアドバンテージになっていると思います。
 比較芸術学科から学芸員を目指す人には、大学院では研究について多くの先生方や友人達と話し、学外でも学会・勉強会に参加する、博物館でのインターンやアルバイトなどを通して、フットワークを軽く、視野を広くすることをお勧めます。学生特権を活用して、将来設計に役立てましょう。
茨城県立歴史館 2017年度博士前期課程修了 2020年度博士後期課程単位取得退学 蔀 政人
茨城県立歴史館
2017年度博士前期課程修了
2020年度博士後期課程単位取得退学

蔀 政人さん

「比較」による越境した学び

 漂う雲に乗り、極楽浄土より迫り来る阿弥陀如来。菩薩たちは楽器を奏で、虚空には蓮華が舞う。そうした幻想的情景に魅せられた私は、在学中に阿弥陀来迎図の研究に取り組みました。この美術史の研究に多角的視野を与えてくれたのが、学科の特徴である美術、音楽、演劇・映像を「比較」した学び。音楽史や芸能史の講義で鑑賞し得た、大陸から伝来し変容した日本古来の楽器や行道儀礼についての知識は、阿弥陀来迎図の図像を読み解く際に非常に有益なものとなりました。
 現在は学芸員として、仏教美術の他、近世絵画や漆工品などの美術工芸全般を担当し、日々調査研究・展示活動を行っています。そうした時、当学科で身に着けた「多角的視点に立ち、五感を研ぎ澄ませて物事を観察する」姿勢が現在の仕事に繋がっていることを強く実感しています。
 ミクロとマクロの視野を持ち芸術を学ぶ。比較芸術学科での学生生活は、他では得られない気づきを与えてくれるでしょう。